<chapter2 碧と紅-emerald and garnet->

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一年前に連絡を取ってみたらしい。東京に住んでいるようだった。しかし、家族がいて、困ると言われたそうだった。もしもお祖母ちゃんや伯父さんを頼れないならばお父さんを、頼りなさいと、そこには電話番号と住所が書かれていた。 勇気を出して電話を掛けてみたが、番号は使われていないとアナウンスが流れてきた。それからダメもとで書いてある住所の元へ行ってみたが、もはや別の人が住んでいたようで表札には違う名前が書かれてある。 後の手掛かりは写真だけだった。それも若かりしころのものだろう。 祖母と伯父は暮らさないかと言ってくれたが、今まで母を助けてくれなかった人達と暮らすことは碧に出来そうもなかった。 だから、碧は独り暮らしをすることにした。だったらせめて、祖母の住む地の近くに来なさい。それが独り暮らしをする条件で、祖母と伯父からは気持ちばかりの援助をして貰うことになった。 碧としてもなんの因果か、祖母の住む地と、父がいると言われた地が近かったこともあり了承する。 そして、この街に来たからにはやはり父親を探すことにした。あの家には居なかったが、ひょっとしたら出会えるかもしれない。
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