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蒼は覚悟は出来ていた。いいや、出来ていると勘違いしていた。どこかで自分には関係ないと思っていたからだ。もし本当に辛くなれば碧の事から逃げ出してしまえば良い。碧は放っておいても一人で復讐するのだから。
でも目の前のこれはなんだ?どういうことだ?なぜ?わからない
否、予兆ならあっただろう。
卒業式の日に自分の家族を見た時に、朱鷺と共に消えた。そして父親を見付けた。
そして碧が家に遊びに来た日から、父の様子が少しだがおかしかったことに。後日、手紙のような物を見ていたことを。それを破いて、捨てたのだって見ていたはずだ
十分に気付ける程のものではないか。なんて愚かだ。何故気づけなかった?これは自分が防げる事態ではなかったのか?
蒼は涙が溢れだしてくる。地獄が始まった。これを止めることは自分に出来ない。そして、父は地獄を受け入れている。
自分の犯した罪に対しての罰を実の息子から受けている。そして、裁かれる姿を実の娘から見られる。
これを地獄と呼ばないのならば、なんと言えば言い?
「母さんを!!殺したのは!!!お前だ!!!」
碧は父の上半身をさらけ出してそこに鞭を当てた。何度も何度もしなる鞭は、父の体にミミズのアザを作ったのだ。
「ミドリ……やめて!!!」
「アオちゃん?アオちゃんは僕と一緒に地獄に堕ちてくれるんだよね?」
「こんなの……おかしいよ……どうして……」
「そんなの僕が生まれて、蒼が生まれた。そして、母さんが死んだその時からこうなることは決まっていたんだ」
「運命だっていうの!!?そんなの!!私は認めない!!!」
「運命?勘違いしたらダメだよ?これは運命なんて不確定なものじゃあない。これは“宿命”なんだよ?」
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