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でもそれでももし、自分の真意に気付き自分を助けようとするかもしれない。その時のためにナイフは多めに持っておくことにする。
「それじゃあ蒼の家に行ってくるね」
「ええ……」
碧は蒼の家に行った。目的は蒼と、父親の髪の毛だ。
母親への愛情も、恋人への愛情も、父親への憎しみも捨てられない。しかも、その父親が自分の恋人の父親だった。
この愛と憎しみのどちらかしか選べなくまたどちらを選んでも何かを裏切ることになる。碧が選んだのは何も選ばず、そして、全てを裏切る事だった。その代償として賭けたのが、
「ミドリ自身の命だったのよ」
紅朱鷺は全てを知っていた。斬り裂き魔になっていた。理由も。
「斬り裂き魔はね?もしものための保険。あんたがもし自分を刺し殺しても正当防衛が、認められるようにするために斬り裂き魔になったの。わざと、足が着くようにしてね」
ま、それでも無関係の人を傷付けたのは大きな罪だけど。
「あ、これ。アイツが残した手紙よ。渡すかどうか悩んだけど、やっぱり渡すことにするわ。あと、アイツの遺産は皮肉だけどあんたの父親が相続することになっているらしい。それが──」
その言葉の後半は蒼の耳には入っていなかった。
蒼に渡された手紙と言う名の遺書にはこう記されていた。
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