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「なによ……これ……結局最後まで詠んでみたって…………こんなのわかんないわよ…………何が間違いで何が正しいのかわからないわ」
「そうね。でもわかることがあるわ」
朱鷺は上を向いて眼を瞑った。そして大きく息を吸い込んで、眼を開けて、蒼を見る。
「ミドリは幸せだった。ミドリはあんたのことが好きだった。憎い父親の子供で、異母兄妹のあんたのことを愛していた」
その言葉を発した時、朱鷺も涙が溢れる。朱鷺自身も、翠川碧の事が好きだった。愛していたのだ。だからこそ、最後まで彼の味方でいて、彼自身の事を肯定し続けた。
「だからその気持ちが!!!」
「わかんないわよ。誰にも。でも。あんただけはわかってやりなさいよ。わからないなら、わかるまで生きてやりなさいよ。それが遺されたあんたにしてやれることよ。恋人としでもいい。妹としてでもいい。ミドリが……碧が幸せだった意味をあんたが見つけてやんなさい」
朱鷺は病室を後にした。蒼は朱鷺が病室を出たのと同時に慟哭する。喉が裂けそうな程に。それは外に出た朱鷺と、
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