15人が本棚に入れています
本棚に追加
「紅先輩……」
「朱鷺」
「紅」
病室の外にいた、翠川碧を慕っていた友人や、碧や蒼と同じく生徒会役員を勤めていて、新学年より生徒会長となった後輩達にも聞こえていた。
「アンタ達……帰るわよ」
「説明くらいあるんだろうな」
「わかってるわ。場所を変えましょう」
朱鷺は共犯者だ。ここにいる彼等、彼女等に説明くらいして、罵声を浴びるくらいはしなくてはいけない。皆を引き連れて病院を後にする。
それでもまだ、蒼の病室からは蒼の慟哭が響き渡っていた。
退院してすぐ、蒼は何度か死のうと思ったが死ぬことはなく、碧の人生が幸せであった理由を探すために生き続けた。
どんな事があってもその意味を見つけるまでは生きることを、やめなかった。死ねなかったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!