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二人を探して校舎中を回る。すると校舎裏に二人の姿が隠れるようにあった。どうしてこそこそと隠れる必要があるのだろうか?そんな二人に声をかけようとした
「みど!……り……」
出来なかった。
二人は涙を流していた。
ひっそりと、二人で。その涙は卒業してしまうことへの寂しさや慶びと言ったものではなかった。
悲しみ、苦しみ、痛みが溢れ出している。
どうして隠れてそんな涙を流すのかわからない。と言うほど蒼は鈍感ではない。碧は親がいない。そして、今日自分の両親がやって来て、仲睦まじい親子の姿を見てしまった事で心を抉ってしまったのだろう。
思い上がりなのかもしれない。ひょっとしたら違うのかもしれない。
そんなつもりはなかったにしてもやってしまったことへの罪悪感は拭えない。
卒業式が、終わって碧の家に蒼は行った。
「どうしたの?また怖い顔して?」
蒼は言ってしまおうと思った。朱鷺から聞いたことを。碧の家族の話しのことを。
「ごめんなさい。トキから無理矢理聞いたの。だから!トキの事は責めないで!!」
「隠してたのは僕だ。ごめんね…………ねえアオちゃん。ひとつ聞いてもいい?」
「なあに?」
「愛と憎しみ。その二つの感情がどちらも大切で、どちらかしか選べないのなら、君ならどちらを選ぶ?」
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