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<chapter2 碧と紅-emerald and garnet->
紅朱鷺と翠川碧の馴れ初めは中三の頃。紅朱鷺の通う学校に転校してきたのだ。
転校して来たときの印象は随分とひ弱そうな男だな。だった。確かにその通りで、彼はクラスの中で一番の軟弱者だった。
また、いつも一人で本を読んでいることも彼を軟弱そうに見せていた。中学三年の夏休み前と言うかなり微妙な時期に転校して来たこともあり、彼が孤立するのは仕方のないことでもあった。
しかしある出来事が切っ掛けで、翠川碧と紅朱鷺の距離は縮まることになる。
朱鷺が夏休み、友人と遊び帰りが少し遅くなった日のこと。幼い妹と弟が家にいなかった。いつも妹と弟が遊んでいる家の近くの公園にも二人の姿はなかった。まだ仕事から帰って来ていない母に連絡をする。当然警察にも連絡をした。自分は可能な限り辺りを探す。すると、交番で幼い女の子と男の子、それから中学生くらいの男の子が保護されているらしいと言う連絡が入った。らしいを差す通り、幼い男の子と女の子の方は泣きじゃくり、名前も言えない状態だった。そして、そのまま泣き疲れて寝てしまう。朱鷺はどうか、自分の弟と妹であってくれと願う。
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