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コンコンコン
窓ガラスを叩く音が聞こえて、僕は目を開けた。
さっきまで日が差し込んでポカポカと暖かった部屋は、いつの間にか真っ暗になっていた。
もう夜なんだ。
コンコンコン
「おーい。タカシくーん」
僕の名前を呼ぶ声が聞こえて、急いで顔を上げた僕は、危うく悲鳴をあげるところだった。
いや、実際はあげたんだけど、かすれた悲鳴が細く上がっただけだった。
だって、ガラス越しだけど、目の前に人が立っていたんだ。
「だ、だれ?」
見覚えがある、ような気がする。
ベランダから僕をじぃーっと見ているあの顔は、もしかして隣のクラスの平野くんだろうか?
「ひ、平野くんな、の?」
平野くんは、背が高くて、足が速くて、女の子にモテる。
通称『高速モテ男子』と、いつも女の子が話しているから、覚えてしまった。
クラスは違うけど、平野くんくらいのレベルになると、学年を通して有名人になるんだ。
その平野くんが、ニコニコ笑って僕の部屋のベランダに立っている。
ポカンと布団の上で正座してる僕を指さして、そのあと、鍵のところを指でさしている。
開けて、ってことなのかな?
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