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「お前が今日ぐらいスマホ持ってくんなって言うから今日、俺はスマホ持ってきてねーんだからな!」
「いいじゃないか、たまにはスマホがない生活も良いだろう。どうだ、この自然の風景!緑は広がり、太陽がさんさんと照っている!生きてるって感じするだろう?」
「しねーわ!クソ寒いわ!単なる山じゃねーか!俺たち遭難者じゃねーか!どうすんだ、おい!帰れず山の中で野垂れ死んだらどうすんだおい!」
「そう簡単には死なないよ」
「だいたい秋の寒くなってくる時期に山って!俺、外嫌いなのに!わざわざ休みの日に山って!そりゃ山の上のほうから見る景色は綺麗でしたわ。でもさー、それ以上に疲れたよね!おまけに道に迷ってるっていうね!」
「大丈夫、きっと人がいるはず。ほら、山道を登ってくる人がいるぞ!」
玲児が指さす方向には老婆がいた。さすが冷静な玲児だ。きちんと周囲を見渡し人を見つけている。熱男は、口では文句を言うものの、玲児を信頼していた。玲児がいれば大丈夫。遭難しても何とかなる。そう思わせてくれるほど冷静で賢い少年なのだ、玲児は。
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