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「うわーひでえ言われよう」
熱男は、ゴミ拾いに対して全然熱くなれなかった。しかし、玲児の冷静さに免じてゴミ拾いをやることにした。こんな山の中では少年はあまりに無力なのだ。
「いや面白そうじゃん、ゴミ拾いしたらなんかくれるって言うしさ」
「うさんくせえけどな」
冷静な玲児の対応力!これぞ、大人の対応だ。謎の老婆に怒鳴られても動じない。ミッションをこなそうとするその姿勢。大人に好かれるタイプだ、玲児は。警戒心をとかない熱男は、大人から嫌われるタイプだ。仕方ない、そういうものだ人生は!
熱男と玲児は一生懸命、ゴミを拾った。空き缶、ペットボトル、紙くず、落ち葉、鉛筆、消しゴム、タイヤ、紙袋、ゴム、雑誌、日記、石ころに見える宇宙人の骨などを拾ってはカゴに入れた。ちなみに石ころに見える宇宙人の骨はこの物語上、まったく何の意味も持たない。未熟な少年達にとっては、貴重な地球外生物の死骸ですら石ころに見えるものなのだ。そういうものだ、少年の無力さというものは。
だがしかし、少年の観察眼は侮れない。熱男は、キラキラ光る青い石を落ち葉の隙間から見つけた。このキラキラした石をゴミとしてカゴに入れるのもありだろう。しかし、そのまま捨ててしまうにはあまりに惜しい気がした。熱男は、こっそりと青い石をポケットにしのばせた。こういうセコさに熱男の人間性が表れている。
幾多のゴミを拾ってはカゴに入れていく熱男と玲児。ちょうど100個目ぐらいのゴミにあたるコーラの空き瓶をカゴの中に入れて、熱男はつぶやいた。
「これでだいたい100個目ぐらいだ。いいでしょ、お婆さんこれで?」
差し出されたカゴの中のゴミをつぶさに確認する老婆。その眼光はするどかった。ゴミを一つ一つ見て何やらぼそぼそとつぶやいているその姿は薄気味悪いものがある。
「うむ。よくぞ拾ったな。ではこの宝の地図をやろう」
そう言って老婆は、ボロボロの茶色の紙きれを熱男に差し出した。熱男と玲児は、その紙きれをのぞきこむ。
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