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ボロボロの茶色の紙には上に向かって矢印が書かれており、矢印の先に『宝』の文字がある。それ以外の情報はない。おおよそ、宝の地図とは呼べないようなシロモノだ。
「お婆さん、何だよこれ?地図ですらねえじゃん!単なる真っすぐな矢印だけ!」
熱男は抗議した。少年なりに、手抜き感は許せないのだ。少年の抗議を聞いた老婆はうつむく。老婆はゆっくりと顔を上げると、唐突に叫び声をあげた。
「キエーーーーー!!」
老婆の奇妙な叫びが山々にこだまする。すると、山の上から何かがやってくる音が聞こえてきた。
「なんだ?お婆さん、なにか呼んだのか?何かが山の上から来るぞ!」
「落ち着くんだ熱男!お婆さんは助けを呼んでくれたのかもしれない」
「いや、そんなわけないと思うわ」
そう熱男が言った直後、山道を勢いよく駆け下りてくる大きな影が見えた。影はよく見ると大きな男だ。ものすごい勢いで山道を降りてきた大男は、二人の少年の前に立ちはだかる。
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