よろしく!

1/4
前へ
/31ページ
次へ

よろしく!

木の陰から出てきた男はシルクハットにタキシードで蝶ネクタイの姿。メガネをかけ、立派な口ひげを生やしている。およそ、山道にはふさわしくないいでたちの男だった。 「ははは。まあ、そう驚くな。私は手品師だ、よろしく!」 あまりに爽やかに挨拶してくる謎のタキシード男。熱男は驚いて言葉が出ない。当たり前だ、こんなうさんくさいタキシードのおっさんが突然山道に現れて!警戒するに決まってんだ、誰でも! 「なんで山の中に手品師がいるんだよ!おっさん、ナニモンだよ!俺は今、親友が連れていかれて大変なんだよ!そう思っている顔だね」 謎のタキシード男が穏やかな顔でこういうことを言うので、熱男は余計に驚く。まるで心を読んでいるかのようだ。この男は何者なのだろう?
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加