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2017年12月24日のクリスマスの夜、男は交通事故で臨終の時を迎えようとしていた。
男には妻も子もいたのだが、5年前に会社をリストラされ半年後、妻子は家を出て行った。
警備会社のバイトをしながらほそぼそと暮らしてきたのだが、今の生活には絶望しかなかった。
あの時は妻と子と一緒にクリスマスケーキを囲みながら、あたたかい一家団欒があったのに・・・・・・、そんなことをくり返し考えながら、信号が赤なのにも関わらず車道に飛び出してしまった。
真っ白に輝く車のライト、ブレーキの甲高いきしみ音、大男にタックルされたような衝撃ー、女性の悲鳴、人々のざわめき、それらが少しずつ遠のいていく。
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