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今日はクリスマスイブなので、私がある人から聞いたお話を書きましょう。
ある街に爺さんサンタと見習いサンタがいました。
見習いサンタはまだ若く、爺さんサンタに教わりながらクリスマスになると
プレゼントを配って周ります。
時々間違えることもありますが、素直で優しく仕事熱心です。
爺さんサンタはそんな見習いサンタが大のお気に入りでした。
ある年のクリスマス、二人で手分けしてプレゼントを配っていたのですが、
爺さんサンタが全部配り終わった所で、まだ一軒配っていない家があることに
気付きました。爺さんサンタの袋にはもうカラッポですが、とにかくその家に
行くことにしました。
その家では小さな女の子がスヤスヤ眠っていて、枕元に靴下が置いてあります。
靴下を手に取った爺さんサンタは「うーむ」と考えて、そのままプレゼントを
何も置けずに戻りました。
家に戻ると先に配り終えた見習いサンタが温かいスープを作って待っていました。
すると爺さんサンタは
「実はまだ一軒プレゼントを渡していない家があってね。すまないがキミ、
そのスープを女の子の家に届けてくれないか。そしてお母さんに
プレゼントが残っていないことを謝って来て欲しいんだ」
と言ったのです。
見習いサンタは「はい、判りました」とスープを女の子の家に届けに行き、
お母さんに「すみません」と謝りました。
すると優しい見習いサンタはプレゼントを届けてあげられなかったことが申し訳無くて、
次の日もまた次の日も温かいスープやパンやお菓子を届けに行ったのです。
女の子のお母さんはとっても喜んで、やがて見習いサンタと恋に落ち、
翌年二人は結婚しました。
爺さんサンタが引退した今は、見習いサンタが家族と仲良く一緒にプレゼントを
配っています。
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