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「じゃ、じゃあ分かりました!ちゅーしてくれたら、本当だって信じます!」
これならどうだ!といった風に私は人差し指をぴんと立てた。
流石に冗談の告白相手に唇は許すまい。
ハグはできてもキッスはダメとかいう、あれだ。
我ながら名案を思いついたと、ふんと胸をそらす私。
しかし。
「分かった。」
「は?」
言うが早いか、先輩は、机二つ分は空いていたスペースを一瞬で詰め、私の腰に手をまわした。
そして、顔に影が降りてきたと思ったら、唇が重なっていた。
驚く間もない、一瞬の出来事だった。
唇を離した先輩は、ぺろ、と舌をなめた。
「意外と積極的なんだな、今井。」
「な……な、な……」
「なにしてるんですか!!?」
「ん?ちゅー。」
ちゅーとかクソ可愛いな、おい!ちょっとスマフォで録音するのでワンモアプリーズ!
…ってそうじゃなくて!!
「ちょ、先輩!キスは一番好きな人とじゃないとしちゃいけないんですよ!?安売りしちゃダメ!もっと自分を大事にしないと!」
「…男子が女子に言う台詞だろ、それ。」
「シャーラップです!ああもう、どうしよう先輩!ごめんなさいっ」
「何が、どうしようなわけ?」
「だ、だって…これから輝かしい大学生活を送る(予定)の先輩の邪魔を……」
「何が邪魔なの。」
「だ、だだだから」
「うるさいからもう黙って。」
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