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「……お時間、とらせてしまって…っ…すいません、でした。
…聞いてくださっ……あ、ありが、…とぅござい、…ます!!」
ちゃんと最後まで言えていたのかどうか、分からない。
しかし、私はそれだけの台詞を笑顔で言いきると、先輩の返事も聞かずに教室を出て走り出した。
何故か?答えは簡単。
限界だったからだ。
正面にいる先輩からの視線も、気まずい空気も、…そして、私の涙腺も。
とにかく、遅刻寸前滑り込みギリギリセーフ校門入場で鍛えた自慢の脚力を生かし、私は誰もいない廊下を突っ走った。
…点々と、色々な汁を垂れ流しながら。
走って走って、たどり着いたのは人気のない中庭の隅。
植木と壁に囲まれて周囲からは全く見えないという、隠れるには最適の場所である。
現在、私はそこにしゃがみこんで、号泣と言う名の感情整理を行っている最中だ。
こんな事態を想定して、泣き場所まで用意しているなんて、準備いいだろぉ?うへへ。
…ぐすっ
「……ぐすっ、…ひっぐ、…うああああっ!」
涙腺がゆるみ、涙のダムは決壊。
ドバドバと遠慮なく水が両目から流れ落ちる。
ふふふ、ナイアガラの滝も今の私の放水量には勝てるまい。
なんて馬鹿なことを考えながら、
いっそこのまま干からびるまで水分を出しつくしてしまいたい、とまで思う。
泣いて泣いて、ここから消えることができたら、と。
今の私を見て馬鹿じゃないか、と嘲笑する不埒な輩もいるだろう。
たかが失恋で何をおおげさな、と。
―でも、考えてもみろ。二年だぞ。
私は今さっき、二年間、ただひたすらに思い続けた相手に振られたんだ。
泣くしか無かろう、今くらいは。
そりゃ、玉砕覚悟、当たって砕けろ精神で本日の決戦に臨んだけども、
…本当に砕けた時の打撃は予想以上に痛くて。
もしかしたら、ひょっとしたら、
『いーよ、付き合っても。』
なんて、軽い答えが返ってくるかも、と期待していたんだ。
勇気を出して告白して…そしたら、
ラブロマンスの主人公みたいに、素敵な恋愛がはじまる、なんて夢見てたんだ。
…まあ、結果は大失敗、玉砕だ。
現実は厳しいな!
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