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「…う、うぞだ!!」
「は?嘘?」
「先輩がぞんなごど言うはじゅないでずものー!うわああああん!」
「また泣くし…」
第二次涙腺崩壊。
両目からどばっと大量の涙があふれ、また私の頬に滝を作る。
日向先輩はぎょっとし、取り出したハンカチで私の顔をぬぐうが、
後から後から出てくる水にたかがミニタオルでは対処しきれない。
ぐっしょりと濡れたハンカチを絞りながら、先輩は呆れたように私に問いかけた。
「あーもう、どうしたら信じてくれるわけ?」
「しんじまぜん!夢なんでずがら!」
「あ!おい!」
色々と故障状態の私は、最後の冥土の土産に、とばかりに先輩のブルーのタオルを奪い、踵を返した。
停止の声なんか聞かない!
何故ならこれは夢だから!
「これは洗ってお返じじまずからー!別に変なことはじまぜんからー!」
「その発言がすでに変なんだけど…」
捨て台詞を吐きながら脱兎のごとく走り去る私。
日向先輩はそれを見送りながら、頭を掻いた。
「やれやれ、どうするかな…」
そう呟いた先輩が至極楽しそうに笑っていたのに気付かないまま、
私はただ家に向かって爆走していた。
数日後。
靴箱の中に手紙が入っているのを見つけ、
放課後の誰もいない教室に呼び出され、
日向先輩から告白返しをされることになるのは――また別のお話。
END
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