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そう思ったからなのかもしれない。
わたしと友人は、カジノで遊び疲れた後、併設されたバーで乾杯した。
そこのステージでは、マジックショーが行われていた。
「ねえ。あのマジシャン、日本人じゃない?仮面つけているけど、素顔はきっと、かなりイケメンよ」
「うん……そうだね」
「何、その素っ気ない態度。あのね、少しは男にも興味持った方がいいよ。
いつまでも初恋の君を追いかけてたって、淋しいだけじゃん?
だって、もうそいつ、この世のもんじゃないんでしょ?会えるとしたら、あの世に行ってからじゃない。
だいたい、そんなちんけな指輪、いつまでもしてるのもどうかと思うけど?」
「あのね、そんなんじゃないったら!!」
気がつくと、わたしたちは客の視線を一気に浴びていた。
どうやら、マジックショーのお邪魔をしてしまったらしい。
わたしと彼女は恐縮して小さくなった。
すると、ステージ上のマジシャンが微笑んだ。
「そうですね。そちらの綺麗なお嬢さんにお手伝いをお願いしてもよろしいですか?」
「えっ?わたし?」
「きゃあー!!美羽!!あなたよ!!すごーい!!」
「これからお見せするのは、消失マジックです。
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