彼の景色

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美容室から出て、店の前の一台分しかない駐車場に停めた愛車に乗り込みエンジンをかける。 今の季節は日陰に駐車すると車内が氷のように冷え切ってしまうが、ここは南向きで、裕美が髪を切っている間もサンサンと太陽の光がが降り注いでいたからポカポカと暖かかった。 ゆっくり車をスタートさせて帰り道をしばらく走ると、“彼の景色”の道に差し掛かる。するといつものようにパッチワークになった彼との記憶が再生されはじめ、裕美の心を優しい懐かしさで包んだ。
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