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「俺か? 俺はそうだなあ……やっぱり某国民的ロッボットアニメのプラモデルかな? 鷺野繁人、Gプラ……と」
訊かれた鷺野は、少し考えてからそう返事をすると、その当時ハマっていた世界的ヒットを続けるプラモデルの名を二人のリクエストの後に記した。
…………と、その時。
プルルルルル…!
けたたましく部屋の固定電話が鳴った。普段、彼らの仕事に使っているものだ。
「お! 本日最後の客様からの電話だ。さあて、丁寧な対応を心がけて、しっかり巻き上げなくちゃ……もしもし、こちら○○税務署です」
普段の経験からそう判断した鷺野は、すぐさま受話器を取り上げると、架空請求のために偽っている税務署職員になりすます。
「ホッホー! やあ、サンタのおじさんだよ。お返事ありがとう。君達のリクエスト、ちゃんと受け取ったからね」
だが、電話の向こうから聞こえて来たものは、彼の想像とはまったく別のものであった。
「……!?」
受話器を耳に当てた鷺野は、そのやけに陽気な老人の声に何が起きたのかわからず、その場で呆然と立ったまま凝り固まる。
「な……!?」
「え……!?」
だが、固まったのは鷺野ばかりではない。同じく玉篠と八尾も、目を真ん丸くして唖然と動きをとめているのだ。
どういうわけか電話が外部スピーカーモードに切り替わっており、その声は二人にも聞こえていたのだ。
「今夜、プレゼントを渡しに行くからちゃんと良い子にして待っててね……いや、君達は悪い子だから、今さら良い子にしてももう遅いか。というわけで、お馴染みの赤いサンタさんに代って、この私、ブラック・サンタがプレゼントを持って行くよ! さあ、悪ガキども、楽しみにして待ってな…ホッホー!」
電話の声は一方的にそんなことを言うと、ガチャリと唐突に切れてしまう。しかも、それまで躁病並みに陽気だった老人の声は、最後に不気味なしわがれ声へと変わっていた。
「…………な、なんだよ、これ?」
プー…プー…というだけになった電話の前で、いまだ受話器を耳に当てたまま、血の気の失せた顔の鷺野は呟く。
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