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「…………お、おい! さっきのハガキ、どこ行った!?」
「…………え? あれ!? 今までここにあったと思うんだけど……あれ? えっ? どこ行ったんだろ?」
ようやく気を取り戻した玉篠が、ハガキのことを思い出して八尾に尋ねるが、八尾がいくら辺りを見回しても、そこにあったはずのハガキは煙のように掻き消えてどこにも見当たらない。
「…………わ、悪い冗談だ。ハガキだって何かのトリックに決まってる! なんて手の込んだ悪戯だ!」
目の前で起こった怪奇現象に、玉篠は震える声をなんとか絞り出し、無理矢理、自分に言い聞かすようにしてそう叫ぶ。
「そ、そうだよね……うん。イリュージョン並みに手に込んだただの悪戯だ……」
玉篠の言葉に、八尾も本心ではそう思っていないながら、表面的にはそう頷いて納得した振りをしてみせる。
「……さ、さあ、こんなくだらない悪戯になんかいつまでも付き合ってないで、早くイブの夜を楽しみに行こうぜ?」
一瞬間をおいて、鷺野も受話器を置くと強引に気を取り直し、わざと明るい声で改めて二人をそう促した――。
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