第3章 夏祭り

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周りは暗く誰もいなくて二人きりだった。 丘の上にあるベンチに座り 「生まれて初めて花火を上に見るの。 あたし、毎年ずっと山からみてるから いつも花火が下になるんだよね。 見下げ花火って言えばいいかな。」 百合花は空を見上げながら呟いた。 「見下げる花火も素敵じゃん。 ここは秘密の場所なの誰もいないんだよ! 毎年この場所で見ていたの。 これかは恋人と一緒に花火が見れるから すごく嬉しいな!」 美里が百合花に微笑んだ。 すると、空一面に色とりどりの 綺麗な花火がうち上がった。 「すごく綺麗!これが打ち上げ花火なんだ。」 百合花はベンチから立ち上り 生まれて初めて見る打ち上げ花火に 感動しながらりんご飴を食べていた。 飴の色素が百合花の唇を 綺麗な赤色に染めている。 それを横でみていた美里は 「ゆりちゃんの唇、りんご飴で赤くなってるよ すごく綺麗。こっち向いてほしいな。」 「ん?そう?赤くなってるかな? てか、このりんご不味い・・・・・・。 それに、あたしなんかより 花火をみなよ・・・・。」 と言いながらも美里の方へ振り向くと 美里が百合花にキスをした。 「綺麗だったから。」 美里がいたずらに笑うと 百合花もキスをやり返した。 2人がイチャイチャしているうちに 気がつくと花火が終わってしまった。 「ミッちゃんがキスするから 花火終わっちゃったじゃん!!」 百合花が不機嫌そうに美里の口をつまむと 「あら、そーゆってるゆりちゃんも やり返したからおあいこよ!」 美里もつまみ返してきた 下らないやりとりに思わず笑ってしまった。 「来年はちゃんと見るんだからね」 「わかったよ。来年はゆりちゃんの 山の上からみたいなー」 「わかった!来年は家で見よう!」 そして会場を出て いつものお別れポイントにたどり着いた。 「今日はありがとう!すごく楽しかった!」 「私も楽しかったよ!それから手を出して」 「ん?わかった。」 百合花は不思議そうに右手を出すと 美里は射的でとった指輪をつけてあげた。 「え!何これ!百合の指輪かわいい! もしかして射的でとったの?」 「そうだよ。私、射的得意だから取ったの。 ゆりちゃんに似合うって思ってさ。 それから、近々ゆりちゃんの 家に泊まりに行きたいな」 「ありがとう!本当に嬉しいよ! わかった!あたしはいつでも大丈夫だよ その時はドンチャンが迎えにいかせるね。 それじゃあまたね!」 「うん!さようなら」 2人は楽しそうに家に帰っていった。
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