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家に帰ってきたので
美里は急いで部屋に向かった。
「パパ帰ってきたよ。話しって何?」
扉の前で不機嫌そうに尋ねる。
「おかえり。ゆりちゃんと遊んでたのに
呼び出してごめんね。さぁさぁ中に入って。」
中からパパの声がしたので
「失礼します。」
美里は一声かけて中に入るとそこには
隣町の足柄町長と息子の廉太郎がいた。
2人はとても仲がよくて
一緒に共同事業を行ったり
美里が子供の時には5才年上の廉太郎が
いつも遊び相手をしてくれたり
まるでお兄ちゃんのような存在だった。
「町長さん、廉太郎さん
お久しぶりです。ご無沙汰しています。」
と言って椅子に座った瞬間
美里は(なんか嫌な予感がする・・・)と思った。
「いや~美里ちゃん美人さんになったね。
とても綺麗だ!」
美里をみて驚きながら足柄が話をはじめる。
「話っていうのは、廉とのお見合いだよ。
ちなみにもう始まってるからね。
ひろしから聞いたぞ、お見合い写真の
男の子が気に入らないんだって?
まあ初対面は嫌だよね。
だから廉はどうだ?
実はお気に召す女の子が
なかなか見つからなくてさ・・・・
そんな時にひろしから
「うちの娘はどうかな?」
って話になったんだ。
昔から一緒に遊んでもらって仲良しでしょ?
それに、背が高くてかっこよくなっただろ。
眼鏡の色男さんだ!」
「そ・・・そうですね。」
と言って廉太郎の方に目を向ける。
確かに廉太郎はとても背が高く
顔も良くて、誠実でとても優しい人だった。
しかし、今の美里には百合花がいる。
それに、男の子は恋愛の対象にもならない。
ずっと黙って下を向いている
美里が気になったのか足柄が
「ミッちゃん、お見合いだからって
緊張しなくても大丈夫だよ。
ほら、大好きなクッキーもあるよ。」
笑顔でクッキーを渡されたので
お礼を言って一口かじったけど
全く味がしない・・・・・・。
(こんな状況でクッキー渡されても
味がしないし、美味しくないよ!!)
と内心怒りながらも気持ちを
落ち着かせるために、クッキーを食べ始めた。
廉太郎も緊張しているのか、顔を赤くして
一言もしゃべらない。
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