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「本当によかった。パパとってもうれしいぞ。
これから仕事の他に修行も始まるから
忙しくなってゆりちゃんに会えなくなるのは
寂しいかもしれないけど、頑張ってね。
ゆりちゃんにも結婚式にきてもらおうね。」
「わかってる。
でも、結婚式が近くになるまでゆりちゃんに秘密にしておくの。それで驚かすんだ。」
と言って美里は自分の部屋に戻り
「私、これでよかったんだよ。
パパとっても嬉しそうにしてた。
町の人も喜んでお祝いしてくれるよ。
私は・・・・・幸せになれるんだ。
廉太郎さんは優しい人だから
大事にしてくれる。」
何度も自分に言い聞かせて
気持ちを落ち着かせようとした。
そして部屋の窓から百合花の住む山を
見つめて「ごめんね。」と呟いた。
するとなぜか涙が溢れて止まらなくなった。
「本当は結婚なんてしたくない。
ゆりちゃんと一緒にいたい。
でも、周りはそれを理解してくれない。
たとえ話をしても差別や偏見の目で
私を見る。ゆりちゃんを巻き込みたくないし
どうして、分かってくれないの。
辛いよ・・・・ゆりちゃん助けて・・・お願い。」
どんなに助けを求めても
その言葉は百合花に届かない。
美里はベッドに潜り込み
そのまま寝てしまった。
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