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足元が覚束なく、フラフラと揺れる悠を抱き抱えてリョウはスタッフ専用の出入り口から出た。
仄昏く人の気配がないそこには上のフロアへ続くエレベーターがあった。
5階まであるボタンのうち3階のボタンを押す。
降りると其処は、下階があんなにロマンティックな店であることが嘘のような普通のマンションにありがちなドアが並ぶ。
「俺の自宅ではないんだが。Deepblueの事務所兼仮眠室」
と言ってポケットから出した幾つもの鍵の束から一つ選びカチャリとドアを開けた。
中は普通のマンションそのもので、短い廊下を抜けるとリビングのような部屋があった。
まだ脳内が混乱している悠がぽやんとリョウを見上げると……
「そんな顔するから、こんなトコに連れ込まれるんだよ」
「え………?っんん……っ」
まだ濡れたままのくちびるを塞がれ、ソファにストンと倒される。
いつもは素早く回転して答えを導きだす悠の頭だがリョウのくちづけはそれさえもあまく溶かして動かなくさせてしまう。
(なに、これ頭がぼーっとして…躯が…)
それが、気持ちがいいということなのだとわかったのは、後で悠がこのことを思い出したとき。
くちびるを離すと、リョウはやわらかなくちびるをそっと親指でなぞる。リョウは我慢できないというように、眉を寄せると、再びくちびるを塞ぐと今度は咥内を舌で弄った。
「……っは……ん……」
悠の咥内はやわらかくて、あまくて。
どこを舐めてもびくん、びくんと背筋を震わせるほど敏感で……
この折れそうに細くて、心も躯も恐ろしく敏感なこの少年は……どこまで自分を煽るのだろうか。
「リョウさ……リョウ……さん……んんっ」
口づけの隙間から漏れるあまい、喘ぎ。混ざって名前を紡がれて、興奮しない男がいるのだろうか。
舌の裏側の柔らかいところを丁寧に舐めてやると、瞳からまた、雫がこぼれ落ちた。
「はぁ……はぁ……」
震える躯。
「悠、怖い?」
尋ねながらもあまりに可愛らしい獲物の姿に、口元には笑みが浮かんでしまうが、悠の涙に濡れた瞳は閉じられたまま首を縦に振るのでその笑みは見えない。
「怖いっ。なんで、リョウさん、ど……して?」
「知りたいか?どうしてこんなことするのか。悠が望むのなら幾らでも教えてやる。でも、聞いたら最後、だぞ……悠がどんなに拒否しても、もう逃がしてやれなくなるよ?それでも俺の気持ち聞く覚悟、あるか……?」
快感の涙で濡れた瞳を開くと、蒼い瞳に怖いくらい真っ直ぐに射貫かれて、悠は息もできなくなりそうになる。大好きな、大好きなリョウなのに、リョウの瞳は深い深い海のようで、其処に堕ちていくのが、とても怖く思えた。深い海の底に沈んで、リョウ無しでは息も出来なくなってしまったとき自分はどうなってしまうのだろうか。
「わかんない…わかんないよ…リョウさんっ」
狡いってわかってる。自分なんて相手にされていないと、恋愛対象である筈がないと、逃げていた。いつだって彼は、まだ子供である自分にいつも逃げ道を作ってくれていた。本当は彼が自分にだけ蕩けるように甘いのだとわかっていたのに、その甘さだけを甘受して穏やかな海にゆらゆらと漂っていたのだ。でも、まだ彼の海に完全に沈んでしまうのは、怖い……
「そうか……」
少し低く笑ってリョウは呟いた。
「いいよ、もう少しだけ待ってやる。今はまだ甘いところだけ、味わっていて、いい────」
それからもう一度、くちびるを深く、奪うように重ねた。柔らかな舌を吸って、それから柔らかい咥内を舐める……
おずおずと応えるように、でもどうしたらいいかわからず躊躇うように動く舌が可愛らしい。
口づけの隙間から漏れる吐息がさらに苦しそうになってくる……
「イきたいの?悠……?」
尋ねると真っ赤になって今度はふるふると首を横に振る。
「想像して?悠。口のなか、舐められながら……ココ、擦られたら……蕩けるくらい気持ちいいと思わないか……?」
ココ、と言いながらジーンズの上から悠の屹立をするりと撫でてやると、そこへの刺激とリョウに言われるままに想像してしまった躯は更に火照りだす。
「んんっ………」
「大丈夫。怖いことは、しないよ……触るだけ…悠……」
触って欲しいなんてとても言えない悠にささやいて、ジーンズのベルトを引き抜いたかと思うとあっと言う間に前を寛げられ、ジーンズを悠の足から取り去った。
いつも優しくて、大人の余裕で全て受け止めてくれるリョウが少し強引で…
初めてリョウの眼前に曝された白くて薄くて滑らかな肌に覆われた脚。蒼い瞳が情欲を湛えて、舐めるように眺める
リョウは脚の先から太ももの付け根まで舐め尽くしたい衝動に駆られる。
(それは、もうちょっと堕ちてこないと。怯えて殻に閉じ籠ってしまったら、また一からやり直しになる)
極力怖がらせないように、だが口の中を愛撫された悠がぽやんとしているうちに下着も取り去ってしまう。そして現れた屹立は……
「ココも、皮膚が薄いんだ……」
思わず、子供のようにももいろの屹立にリョウはイヤらしい笑みをもらしてしまう。
「それに、すごい……濡れやすいな、悠は……」
屹立の先からはとぷり、とぷりと先走りの液が溢れ出て、屹立を伝い後孔まで流れていて……
(まるで、孔も濡れてるみたいだな………)
「あ…あっ……あ……」
声を抑える術さえもわからないその姿に、危うくそのまま、濡れている後孔に自身を突き立てたい衝動に負けそうになるが、
(まだ、だ────ソレは、戻れないところまで、堕ちて、から。そして、そのときは……俺無しでは生きていけないように、する。ああ……でも……)
イれたい。
「あ……リョ……ウさ……っ……恥ずかし………見ないでっ……あっあっ」
透明の先走りの液で濡れてる屹立をそっと擦りたてると、驚くほど濡れているそれはくちゅくちゅと濡れた音を立てる。驚かせないように優しく扱きながら、柔らかい舌を吸う。
柔らかで薄い肌だけでなく、鼓膜まで敏感なのか、濡れた音に脳髄まで掻き回されているような感覚に悠は襲われる。我慢が出来ずにリョウは自身の熱く猛るものを取り出し、悠の屹立と共に握り擦りたてた。互いの屹立が触れあったところが燃えそうに熱い。
溺れた人のように、息が苦しい。
でもくちびるが少しずれたときに吐き出す吐息は、蜂蜜のようにあまったるい。
やはり、とても敏感な悠のソレはあっという間に高みに押しやられて………
「見な………っでってば…え………?や、なに…か入ってくる…いれちゃ、やだっ…あああっ」
感じすぎてポロポロと流れ出た涙に理性が飛びかける。イく直前に濡れそぼった後孔にほんの指の先。
リョウの人指し指の第一関節まで。締め付けながら達する快感を、覚え込ませるために潜らせると、悠は悲鳴のような啼き声を上げて、あまいミルクを溢した。
絶頂に達する悠を初めて見たリョウも、それから程なくして白濁を吐き出した。初めて見たリョウの余裕の無い表情に、悠はぐちゃぐちゃに掻き乱されて、彼の胸に縋り付き意識を手離した。
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