六条くんの盲執

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「そ。分家のここより本家の方がご利益も強力だと思ってさ。朝イチで行って、蛍光ちゃんの代理ですって神様に断り入れて、コレ引いてきたんだ」 「えー! ……って、ちょっと待って? ねぇ確か、熊野三社って三社とも和歌山にあるんじゃなかった?」 「そうだね」 「そうだねって、え? だ、だって新幹線使ったって東京から片道五時間はかかるよね? 今日の朝イチで引いてきたって、まさか嘘でしょう!? ……あ、そっか、年末から家族旅行して……」 「してない。ボクの弾丸一人旅。大晦日の深夜に発って、今日の始発で帰ってきたんだ」 「う、そぉ……」 「どうして。ボクが蛍光ちゃんに嘘なんかついたことある?」 有るけどさ。そりゃあ、山ほど。 「……でも、じゃ、どうして?」 「だって、もし蛍光ちゃんが悪いおみくじ引いちゃったらツラいかなと思って。まして今年はボクたち……」 「受験生!」 「……なのにさ? 大丈夫。本家を先に引いたんだから、こっちが有効」
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