六条くんの盲執

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クスッと笑んで、また頭をぽんぽんしてやると、やけに幼い大きな瞳がじわじわと潤んでいく。 その目はなんかもう、反則だ。 「私のために、そこまで?」 「なかなか楽しかったよ? でもそうだね、次は二人でゆっくり行こうね、熊野」 「ろ、六条くぅんっ……!」 すげぇ、完璧。 わた飴みたいに丸っこいセミロングの髮を(なび)かせて、シナリオ通りに駆け寄る君を胸に抱いて、甘い香りに酔いしれる。 アイボリーのコート越しに伝わる柔らかな胸も、ふわふわの腕も、たまんない。 「六条くん、六条くぅん、ありがとう……っ」 くん、くぅんって、ほんとに仔犬みたいだな。もっといろんな声で鳴かせてみたくなる。 「ううん、ボクも嬉しいから」 ……なんてね。 こんな物のためにわざわざ熊野へ行くほど、ボクが殊勝な男に見える?
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