六条くんの盲執

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「あっ、まだタグついてた」 取るから(かが)んでと言うのでそうすると、君の体が近づいて、細い指先が耳当てにのびてくる。 瞬間、火花が散った。 ぼんっと張りのある衝撃が君の胸だと理解したときには、誰かと盛大にぶつかったらしき君が前のめりに覆い被さってきて。 そのあまりの威力とたわわな白桃のトキメキに、ボクの血管が限界を超えた。 切れて溢れて行き場を無くした血液が、鼻から噴き出す五秒前カウントを始める。 ギャアギャア、上空で羽ばたくカラスの大群が、霞む目の端に見え。 くっ、さてはあいつら熊野の連中だな? 呪い符を買った帰りに境内で一羽にフンをかけられたんで思いっきり睨み付けたら、そいつめ仲間を連れてきて、一斉に襲いかかって来やがった。 石を投げて応戦したが、あいつらそれを根に持って、ボクの動向を探りに東京(こんなとこ)までついてきたらしい。 まずい、今ここで鼻血を噴いたら誓いが消える。 そうしたら呪いは、熊野まで行ったボクの神聖なる呪いはどうなるんだっ!?
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