六条くんの盲執

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「……させるかああ!!」 グッと鼻をつまんだボクは、内耳と外耳に意識を集中し顔の中心部から外へ向かって圧力をかけた、そうして巧みに血流の方向を変換し、鼻血を耳血に変えた。 プシャッと血の噴き出す音が内耳に響く、だが耳当てのお陰で外に漏れることは無い。 幸いにも耳当ての色が黒いために、血が滲んでも目立たなかった。 ギャアギャア、つまらなそうに飛んでいくカラスどもの後ろ姿にボクは自らの勝利を確信した。 ふっふふ……ざまあみろ! 「六条くん大丈夫!?」 「あっはは、平気だよ。蛍光ちゃんは?」 「私は大丈夫だけど……」 起き上がって膝を払う。なおも心配そうに覗きこむ君がいじらしいから、ボクは話題を変えた。 「そういえばさ、さっき蛍光ちゃん、神様に何てお願いしてたの?」 「え? ……っとね、えっと、今年も良いことがたくさんありますように、だよ!」 それを聞いたボクは、心底自分の引きの良さに関心をした。 「ねえ蛍光ちゃん。あの大吉のおみくじ、他に何て書いてあった?」 「え? ええっと……」 慌ててコートのポケットを探り、またおみくじを開いた君が、わあっと歓声を上げる。
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