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六条くんの盲執
拝啓 ボクの天使へ。
ねえ、今日は一段と可愛いね。ボクとの初デートの為にあんなにおめかししてさ。
待ち合わせ場所に向かう君の道沿いに、ずらりと並んだ街路樹。その枝葉の中であくびして、君の歩幅に合わせながらボクは今ひとり歩いています。
街路樹がガサガサ音をたてても、今日は風が強いなぁとでも言いたげに呑気に空を見上げる君。
眩しげに翳した右手の陰には、少し貧血なんだと以前頼りなさげに微笑んだ、それを物語る白い頬がなやましく光る。
なのに唇だけはぷっくりと紅くて、ねえ、君っていつも透明なリップクリームしか塗らないよね。素の色が綺麗ってさ、もうボクを誘ってるわけ?……
誰が見ても愛くるしい君。
わた飴みたいな髮の毛に対して、凛と輝く真っ黒な瞳が印象的だ。
「んーっ」
と伸びをしたあとで、君がほわりと白い息を吐く。
トンっと踵を戻すと、ふわふわの髪がワンテンポ遅れて背中に弾んだ。
ライラック色のニットの上にアイボリーのコートを重ね、ボトムには落ち着いたピンクの膝上スカート。
でもその中にはもっと胸騒ぎのベビーピンクのショーツ。
そうあのショーツは一昨日、学校帰りの君がひとりお気に入りのショップで買った新品だ。
それもブラ(70Cカップ)との上下セット。
ボクとのデートにおろしたてのショーツとブラを身につけるだなんて、期待するなという方が無理でしょ。……
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