六条くんの盲執

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ピカピカの五円玉を白い手に載せてやって、仲良く鈴緒を揺らし、鈴の音を聞きながら仁礼二拍手一礼を済ませる。最後に二人そろって賽銭を投げた。 なんてお願いをしたの、と聞く間もなくまた人の肩に押され、ひとまず神前からはけて御守り売り場へと逃れる。 「あ、おみくじ引きたーい!」 年季の入った木製のおみくじ販売機を指差し、はしゃぐ君。 待ってました。ボクは百円を差し出した。 満面の笑みで受け取った君の指から、コトリ、放たれた百円玉が投入口へと飲み込まれる。と同時に五センチ程に折り畳まれたこよりがあっけなく落ちてきた。 でもワクワクとそれを開いた君の顔が曇るのは、先刻承知のことで。 おっちょこちょいな上に引きの悪い君の持ち運を信用はしていたけれど、さすがに新年そうそう大凶を引き当てる人なんて漫画の世界だけだと思ってた。
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