0人が本棚に入れています
本棚に追加
「やめい!!」
会長の怒声がリングに響く。
「純 お前は縄跳びでもして帰れ、敏捷性が無さすぎて相手にならん。
拳次、シャワーを浴びて俺の部屋にこい。」
「やれやれ、熱くなったらすぐにお預けかよ」
拳次はグローブを外すとすぐにシャワーに向かった。
「いやいや、殴られまくったんだから俺がイライラするもんでしょ?ねぇ!篠塚さん」
俺も言われた通りに縄跳びをしながらトレーナーの篠塚さんに愚痴ってみた。
「お前はもうちょい自分の力を理解できればなぁ」
困ったものだとうなだれる篠塚さんにいまいちピンとこずにむちゃくちゃに縄跳びに打ち込んだ。
周りがシャワーを浴びて帰宅してくなか、ひたすら飛び続けた。
「おいおい、俺が絞られてる間ずっとやってたのかよ」
さっさとシャワー浴びてこいと、投げれたタオルをキャッチする。
「何言われてたんだ?結構長かったけど」
シャワーを浴びて濡れた髪をふきながらたずねる。
ああ、色々とさ。短い返事に腑は落ちないが、言いたくなさそうだなと感じ、ふーんと返してこの話は終わった。
会社の寮に帰ると、晩飯だぞと拳次が弁当を取り出す。
俺がシャワー浴びてる時に幸子が持ってきてくれてたらしい。
「おっ安月給の俺達には女神にかんじますなぁ」
うーん、肉が食べたいと文句は言わずにヘルシーな弁当に箸をつける。
「なあ、お前は本当にその階級で大丈夫なのか?」
「急にどうしたんだ?」
「いや、俺がいなかったらベスト階級でやれるんじゃないか?無理してないのか?」
確かに、幸子も言ってたが今の階級の中では体格は小さいだが、
「いや、全然。減量しなくて済むし。むしろ、階級上げちゃう?節制しなくて済むしな」
しかも、試合前の味気ない食事から卒業できる!
「そうか、ベストのお前がみたいんだかなぁ...いや、無理そうだな(笑)」
キンキンに冷えた麦茶を取り出し一気に飲み干す俺の姿に、節制は合わないと半ば呆れていた。
最初のコメントを投稿しよう!