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「君が3階級制覇を目指した時に最後の壁になるのが俺だと言うことを恐れているが良いさ」
「はは、同じ事務所じゃ公式試合無理だろ。それに、俺がお前の階級に上げたらお前は喜んでさらに体重あげそうだし(笑)」
確かに、より旨い物を試合のギリギリまで食べるには...と甘い考えが頭によぎるとまんざら悪くもないなと思う。
「おいおい、食べ物の為に階級上げようと考えてるボクサーはお前だけじゃねーか?」
なぜわかった?顔にでてたのか?
「そりゃあ、チョコレート見ながら真剣な顔してたからな」
ほう、中々の観察力だと感心しケースからチョコレートを取り出す。
「いやいや、食うなよ。お前も来月は試合なんだから、前の試合だってギリギリまで焦って減量してたじゃねぇか」
拳次のドン引きの顔をみると手にしたチョコレートをケースに戻す。
そうだ、前の試合後に反省して仕事後にチョコレート3かけらと周りに豪語したのだった。
初めて本気の減量を3日間しただけでこの弱音だ。
拳次の減量は尊敬に値する、いや全てのボクサーにと言う方が正しいのかもしれない。
「モチベーション上がんないなら、良い物見せてやるよ」
拳次が鞄から一枚のDVDを取り出す。
「何系?ボクサーの欲望制限は食欲だけじゃないですからねー、最後にお貸しになられるんで?」
バカ野郎と俺の頭を空のDVDケースで殴る。
「次の試合の相手の映像。ほら、高校フェザー級チャンピオンでB級ライセンスとってからの今回デビューのやつ」
「ああ、あの期待のホープねぇ。」
顔が渋くなる、前に学生時代の映像を見たが中々の物だ。
特に、アウトボクシングのスタイルを磨きあげてヒット&アウェイを丁寧に繰り返していた。
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