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「三年前の俺だったら間違いなく負けてただろうな」 菖蒲はそう呟くと、手に持つホワイト・ウォーブラーの羽を、先程セロシアが発生させた火炎の中へと迷わず腕ごと突っ込んでいく。 そして、溢れんばかりの光を解き放つその羽を、真っ赤に脈打つ心臓の中へと深々と突き刺した。 「ジ・エンドだ」 直後、けたたましい怪物の絶叫が振動となり、衝撃と化して坑道中を駆け抜けた。 もがき苦しむ巨大な腕は手当たり次第坑道の壁を打ち壊してから、自らの心臓めがけ一直線に突き進む。 その赤い腕が脈打つ心臓を捉えた瞬間、菖蒲に僅かながらの油断が生じた。 それを見逃さなかった怪物のもう片方の腕が菖蒲へと垂直に振り下ろされていく。 ーーしまった。 菖蒲が死を覚悟したその時、横から衝突した何かによって大きく吹き飛ばされていた。 ボヤける視界が映し出したもの、それは肩口から夥しい量の血飛沫を撒き散らしながら横たわる老兵の姿であった。 「……セロシアさん」
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