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「……セロシアさん無事か」
「ええ、それよりもーー」
セロシアは脇に抱える書物を掲げ菖蒲の前へと静かに差し出した。
「……これは」
「先程の化物を倒してからです。この本がこの様に光り始めたのは」
そう言って菖蒲へと本が手渡された瞬間だったーーまるでそれが意思を持つかのように一人でに空中へと浮かび上がったのだ。
燦々と煌めくそれは空中をくるくると一通り旋回した後、一枚の紙切れが飛び出すかのようにして空を切り裂く。
「……」
その紙切れを掴み取った菖蒲は神妙な表情を浮かべ、何かを感じ取ったのだろうかコクコクと数回頷き出した。
そして迷い無くその身に纏っている衛兵の衣を脱ぎ去っていく。
「な、な、な……」
本来ならば羞恥に頭から毒の沼へと突っ込みたい所であったがここは非常事態。
菖蒲は無心と化して布切れ一枚とて全て脱ぎ捨てた。
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