593人が本棚に入れています
本棚に追加
「……お前はまた私の前にそれを晒すのかッ!!!」
「そんなに嫌なら見なきゃ良いだろう」
顔を林檎のように紅色させながらそう叫び散らすカトレア。
しかし何故かその瞳は確実に菖蒲の下半身を捉えていた。
「……だから見るなって」
「だ、誰が見るか!!」
菖蒲はやれやれといった様子で横に居座るセロシアへと向き直った。
「セロシアさん悪いんだけど、その刀身のない刀を俺に譲ってくれないか」
「お安い御用でございます」
菖蒲はセロシアから折れた刀を受け取ると静かにその頭を下げる。
そして自身の衣服とセロシアの刀剣を一箇所に纏めると、その上から例の紙切れを高らかに放り投げた。
『ユニゾン』
次の瞬間、暖かい光に菖蒲達は飲み込まれていったーー。
△
あれから第七坑道跡を後にした面々は、怪我を負った調査隊の少女を古都ブラルから離れた小都市へと送り届けていた。
今現在、カトレアとセロシアは別行動中だ。
そんな中、荷馬車のような乗り物を見つめていた菖蒲が徐に語り始める。
最初のコメントを投稿しよう!