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そんな時、ふとある事を思い出す。
「それにしても一つだけ腑に落ちないんだよな」
それは第七坑道内での出来事だった。
パラドックスの幼虫と対峙した際の記憶。
その一幕が菖蒲の脳裏に焼き付いて離れないのだ。
(ーー何か重大な事を忘れているような)
そこで、記憶を整理するかのように固有名詞を一つずつ思い出していく。
カトレア・ウィザードリィ、古都ブラル、監獄牢の衛兵達、ブレイン大尉、フリージア・ウィザードリィーー。
「……まさか」
そこまで思い出した所で顔面蒼白となった菖蒲は全速力でその地を駆け出していた。
△
「傷の方は大丈夫かセロシア」
「ええ、お陰様で大事には至らなかったようです」
それを聞いたカトレアが安堵したような顔で「そうか」と口にした。
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