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「貴女様には敵いませんな」
涙目のカトレアが顔を上げた時にはそこには、ニッコリと穏やかな笑みを浮かべているセロシアの姿があった。
「セロ爺……」
それを見たカトレアはついにはその涙を抑える事が出来ずに気が付いた時にはセロシアの懐へと寄り添っていた。
グスグスと泣き腫らすその様は普段の強気な彼女の面影はなく、年相応の健気さを垣間見せている。
一通り泣き叫んだところで、カトレアはセロシアの腕がブルブルと小刻みに震えている事に気付く。
「……セロ爺?」
カトレアがそう不安げに呟くと、セロシアは虚ろな瞳でカトレアの事を引き離した。
「……お逃げ下さいカトレア様」
「……え」
セロシアは頭を押さえその場で蹲ると苦しそうに呻き声を上げ始めた。
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