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(……身体の中に何かいる)
セロシアは朦朧とする意識の中でそう感じ取った。
ーーカトレア様から少しでも離れなければ。
セロシアは頼りない肢体で起き上がると、部屋の入り口へとその足を向ける。
「セロ爺ッ!!!」
だが、そんなセロシアの後を必死に追う少女の姿が。
(……いけない。意識が飛んでしまう……)
カトレアがセロシアの背に追い付いた時には、老練の騎士はその意識を完全に失っていた。
「ーーーーがッ」
次の瞬間、セロシアの太い腕がカトレアの細い喉元へと減り込んでいく。
キリキリと音を立て絞められていくカトレアの顔からはだらしなく涎が垂れ流れていた。
「ーーセローーシーー」
意識が消えかかる寸前、首元を掴む巨大なその老体が横へと大きく弾け飛んでいくのをカトレアはしかとみた。
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