ゲームの世界へよろしく

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「……間一髪間に合ったか」 ーー霞む視界。 そう言葉を漏らすのは顔見知りな人物であった。 「……思い出したんだ。俺が記憶している史実にカトレア・ウィザードリィもその部下達の死も記載されていたがセロシアさん。アンタの名前だけはそこには存在しなかった」 ただ一つ、教えてもない自身の名を目の前のこの老人が知っていた事は未だに疑問に残る事ではあるが。 菖蒲はセロシアに馬乗りの体勢になるとさらに言葉を重ねる。 「カトレアを狙う理由は分からないが、顔見知りを殺されては俺も目覚めが悪いからな。阻止させて貰うぞ」 そう言ってセロシアの腕をおかしな方向へと折り曲げようとしたその時、満身創痍のカトレアから声が掛かった。 「……ゴホッゴホッ……頼む……待ってくれ……」
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