第十楽章+寂しかったから

16/35
前へ
/292ページ
次へ
『―ああ』 ふ、と俯くリオウ。 『…そうらしいね。……リディアの悲しみがあって尚 王家は人間を今なお愛している…ほんとうに尊敬しきれないな 先日カノンの所へ行ったけれど やはり人間界で暮らしているそうだね』 手に握られたのは、大きなリボンがあしらわれた、"小さな男性サイズ"のドレスです。 雲に透かされた青空色のリボンはお気に召したでしょうか? そうでもなさそうで、陳列棚へ戻したリオウは小さく言葉を返しました。 『人間界の本を読んでいるとね、夜会や舞踏会のシーンはいつも女性しかドレスを着ていないからそうなのかなって思っていたけど やっぱりそうなんだね…マッドロード様はどんなドレスを買われていったのだね?』 濃いいろからあわいいろ、ひとつの色や沢山の色で作られたドレスはどれをみても個性的で、全く飽きません。
/292ページ

最初のコメントを投稿しよう!

82人が本棚に入れています
本棚に追加