第十楽章+寂しかったから

26/35
前へ
/292ページ
次へ
『そうかいそうかい!ヴィラ君、うちの子すごーくぼーっとしてるけど宜しくね。 仕事大変だからね。ちゃんと毎日仕事前は氷止めの薬を塗りこんで、 "仕事が終わったら風呂でからだを温めて" 雪をなめたらいけないからね』 『…ぼーっとしているのは誰に似たんだろうなあ?』 ほがらかに笑うリオウの両親は、ひだまりのよう。 『…よろしくお願いいたします…お世話になります』 ふかく、ふかく頭を下げるヴィラはとてもていねいです。 『まぁまぁ、丁寧な紳士ですこと♪リオウと一緒に居て下さればリオウももうちょっとしっかりするかしらね♪ 抜けてるのよ、うちの子、こう、ぽわわ~んって』 『…誰に似たんだろうなあ?』 大事そうにリオウの頭を撫でるおとうさんにおかあさん。 ふたりのことばに同じことばを返すリオウは大きなため息をはきだしました。
/292ページ

最初のコメントを投稿しよう!

82人が本棚に入れています
本棚に追加