記念写真

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 最近、私の身に・・というか、長田家に少し変わった出来事が起きた。  この私が一眼レフという難しいカメラの操作を覚えることになった。奥さまが町のカメラ屋さんで比較的使いやすいという国産のニコンのカメラを買ってこられた。  使いやすいといっても一眼レフだ。機械音痴の私が誰にも教わることなくマスターできるわけがない。恭子さまの学校のご友人の村上さんに基本的な使い方を教わった。  村上さんは芦田堂の宣伝写真も撮って頂いた小学五年生の男の子だ。  恭子さまも村上さんにご自分のカメラの使い方を何度か教えてもらったそうだが、まだよくわからないそうだ。恭子さまの所持しているライカのカメラはヒルトマンさまの形見なのだけれど操作が難しい。  恭子さまがわからないものを私が扱えるわけがない、と言ったところ、このニコンのカメラの購入に至った。  年明け、さっそく恭子さまが村上さんにカメラのご教授を頼み込んだ。 「村上くん、静子さんにもカメラの使い方を教えてあげて欲しいの。今度は国産のカメラだから、簡単よ」  恭子さまに頼まれ嫌な顔一つしない。どうやら、村上さんは断れない性分のようだ。  ちょっと押しかけのようになってしまったけれど、村上さんは素人の私に親切に教えてくれた。私はメモをとりながら村上さんの指導を受けた。  恭子さまが「私、村上くんに何もお礼はできないのだけれど」と申し訳なさそうにすると「昨日、長田さんのお母さんが芦田堂の大福、たくさん持ってきた」と言って笑った。  驚いたことに奥さまは村上さんの家にお一人で出向かれご両親とも挨拶を交わしていた。 「この町をもっと知りたい」と言っていた奥さまはその言葉通りの行動をなさっている。  そんなわけでカメラは村上さんのおかげで一週間ほどで私なりに使いこなせるようになった。村上さんの教え方が上手だったのか、私の腕がそれなりに上がったのか、うまく被写体をとらえて写真の中に収められるようになった。  試しで撮ったものをカメラ屋さんで現像してもらいプリントされた写真を見た時は嬉しかった。ちゃんときれいに写っている。  ひょっとして、私、機械音痴卒業?
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