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芦田友也の憂鬱
◆
俺って、もしかすると年下の女の子好き・・なのか?.
最近、そう考えるようになった。
同じ中学のクラスの女子には全く興味がないのに、年下の女の子ばかり可愛く見える。
クラスの女子はそれなりに可愛い顔の奴はいたりしてもクソ生意気だったりする。
特に委員長の神園なんて茶道みたいなお上品なことをやっているせいか、俺たち運動部を目の仇のようにしてずけずけと物を言う。
「ちょっとっ、芦田くん、昼休みのチャイムが鳴ったらすぐに教室に戻りなさいよ!」
今日も運動場で汗を流して教室に遅れて戻った俺を委員長の神園が剣幕顔だ。
「一分も遅れてへんで!」
俺は腕時計をかざし強く答える。
「芦田くん、腕時計をしていいのは試験の時だけって先生に言われてるでしょ!」
「うっかりしてきてしもうたんや」
神園は一応注意だけするとツンツン顔で自分の席に戻った。制服の後姿が怒っている。
やはり俺は同い年の女の子には興味がない。
そして年上の女の人は中学校の先生と母ちゃんくらいしか知らない。
あ・・保健室のおばさんも年上だ。母方のおばあちゃんもそうだ。あと、薬局のおばちゃん、銭湯のおばさん・・考えていたらまだまだ年上の女の人が頭の中に浮かんできそうなのでやめた。
そもそも俺くらいの男子はどんな女の子が好きなんだ?
考えたらクラスの男子はたいていアイドルの女の子に夢中だよな。アイドルなんて俺には誰が誰だかさっぱりわからない。
二年前、大阪で開催された万博以降、アイドルが急に増えだした。日曜日の昼にはオー ディション番組もやっているほどで、みんな欠かさず見ているらしい。
けれどテレビに出てくる女の子なんて子役でもない限りはみんな高校生以上だ。俺たち中学二年生からみたらみんな年上の女の子、いや、もう女の人だ。
クラスの連中はみんな「年上の女の人」に夢中になっているということだ。
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