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第一ラウンド 小手調べの殺戮ゲーム 一章 手を取り合えば?
〈一章 手を取り合えば?〉
1 騎士が剣を捧げるは
早速の人死にに騒然となった体育館。いつどこで暴動が始まったっておかしくはない。誰も彼もが今にも不安を爆発させそうになっていた。体育館は一触即発の雰囲気に満ちていた。
そこを。
「鎮まりなさい!」
よく通った女の子の声が割った。鶴の一声にざわめきは鎮まる。
見るとそこには年長そうな、紫のツインテール、濃い紫の瞳の少女がいた。あまり幼い感じがしないから、ピースよりは年上だろう。
彼女は茶色の半袖ジャケットに紫色のホットパンツ、肘や膝の部分には紫色の手甲といった、活動的で動きやすそうな軽装をしていた。
紫色の少女は、混乱するみんなに言った。
「ねぇねぇみんな、頭冷やしなさいよ! ここでこんなに慌てていても、一体何になるっていうのよ? 確かにデスゲームは始まったわ、大変結構! ならばね、混乱して騒ぐよりも、いかにして自分が生き残るか、それを考えるのが先決じゃないの!? ええ、確かに人は死んだ。あたしもこの目でしっかり見たわ。だけどそれがどうかしたっていうの? あんな見せしめに惑わされちゃ、この先絶対に生き残れないからっ!!」
彼女の言葉は、混乱するみんなの目を覚ました。皆、心の平穏を取り戻していく。そうだ、そうだ。嘆いていても何も始まらないのだと、目が覚めたように呟く人たちがいる。
紫の少女はそれを見て、ふうっと溜め息をついた。
「はーい、みんな目が覚めたわね? 一応名乗っとく。あたしはエーテナ、名前の意味なんてないわ。コードネームはテキトーよ」
彼女は名乗り、笑みを浮かべているリェイルの方を見た。
首をかしげて、彼女に問う。
「で? あたしたちはこれからどうすんの。どうすればいいの。殺し合いは今すぐかしら? 何か情報をくれないと、動きづらくて困るんだけど」
その質問を待っていました、とリェイルは大きくうなずいた。
彼女は説明を始める。
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