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その後。それぞれの紹介を聞いて、ピースは何となくメンバーを把握した。
彼らは敵かもしれないが仲間かもしれない。とにかく覚えないことには何も始まらない。
中には冷たい対応をする者もいたが、そこは人それぞれなのだろう。
自己紹介が終わったあと、リェイルは言った。
「ではでは。チームを組むのは自由です。今から一時間自由時間をあげますので、皆様は好きにチームを組んでくださっても構いません。別に組まなくったって構いません。自分でリスクとリターンを見極め、好きになさるといいでしょう」
私はゲームマスターですので殺し合いが始まったら基本、ゲームに直接の関与はいたしません、そう言って。
「それでは私はしばし教室を出ますよ。一時間後にお会いしましょう。それと」
彼女は鞄を持っていて、そこから鞘の付いたナイフを取り出した。数えなくてもわかる。あれは20本あったんだ。しかし赤い少女が死んでしまった今、彼女が出したナイフの数は予想通り19本だった。先ほど『自己防衛用のナイフ』と言っていたから、彼女はそれを出したのだろう。
「最低限の自己防衛手段はあった方がいいでしょう。一人一本ずつ、これを差し上げます」
教卓の上にナイフを置いて、彼女は教室から出ていった。
教室がざわめく。誰と組もうか、どうしようか。組んだら一蓮托生だよな、などといった会話が、不安と警戒、希望と期待を込めて様々に飛び交いだす。
しかしピースは迷わない。彼女には最初から、組む相手がいた。
青銀の騎士に、花が咲いたような笑顔で笑いかける。
「ソーマくん、私と組もう!」
ピースの言葉に、ソーマはにやりと笑った。
彼は右膝を地につけて左膝を立て、腰に差した剣を抜いて、柄をピースに差し出した。
困惑したままピースがそれを受け取ると、ソーマは剣を動かし、剣の腹を自分の肩にのせるようにした。
彼は微笑み、芝居がかった口調で彼女に言った。
「我、貴女の騎士になることを誓いましょう」
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