2人が本棚に入れています
本棚に追加
それは、彼がピースに自分の命を預けることと同義。
ピースは思う。確かに状況は一蓮托生ではあるが、これではあまりに一方的なのではないかと。
ピースはまだ困惑したままで彼に問うた。
「えっ、ソーマくん。私、そこまで求めていないよ……?」
「我が剣は、貴女のもの。ピース、オレを騎士に叙任すると、言うんだ」
「でも……」
ソーマは苦い笑みを浮かべた。
「生憎とオレは、そこまで社交的じゃなくてね。あんたくらいしか組みたいって思える相手がいないんだよ。だから」
青銀の騎士の瞳に宿る光は、真摯な思いを帯びていた。
彼には他に組む相手がいない。そしてピースも彼以外に知り合いがいないのは確かだった。
要はお互いしかピースとソーマにはこの学園に知り合いがいない。ピースが持ちかけソーマが受けた。彼の返答の仕方は独特ではあったが、「組みたい」という思いは同じだから。
ピースは何を迷っているんだと、自分を叱咤した。
(せっかくソーマくんが騎士になるって言ってくれたんだ、私はそれを受けなくちゃいけない)
渡された剣は重かった。しかしピースは頑張ってそれを握りしめ、持ち直して改めてソーマの肩にのせ直す。
平和の鳩は、厳かに告げた。
「我、汝を我が騎士に叙任する!」
芝居がかった口調で返し、ピースは恥ずかしそうに笑った。
本来はその後、主となった者は騎士に剣を向け、騎士はその刀身に口づけをして騎士叙任式は終わるのだが、ピースに手順はわからない。
彼女は剣を慎重に握り、その柄をソーマに差し出して返した。
ソーマは穏やかに微笑んでいる。
ここに、新たなチームが誕生した。
平和の鳩と、それを守る青銀の騎士と――。
◆
最初のコメントを投稿しよう!