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2.あらすじ
目覚めるとそこは屋外階段の踊り場だった。
僕の人生も踊り場で停滞しているかのようだ。
大学を卒業してから全くそれらしい仕事に就けていない。
日本の経済もまた踊り場に留まっているように思う。
僕が子供の頃からほとんど経済が成長しない状態が続いている。
それまでは、毎年のように成長を続けることが当たり前だったのに。
そこで目覚めたのは、何かで頭を叩かれたからだ。
スマホを開くと、人工知能やロボットを造っているグローバルコングロマリットである、ナンステックの社内文書を写真に収めた物が残っている。
その文書にはこう書いてある。
もうすぐ日本は財政破綻する。
そうすれば日本中の物が値下がりし、タダ同然になる。
そこでナンステックは政府が持っている資産の全てを買い取り、公務員はみんなナンステックからの出向社員として働いてもらう。
全ての国民はナンステックが許可した範囲でのみで行動することが認められる。
日本経済の停滞は社会が複雑になってきたことで個人が権利を主張すれば何事も立ち行かなくなったからであり、ナンステックの買収によってこそ日本は経済が永遠に大きく成長を続ける国になるはずだ。
財政破綻が近いのでそれを可能にする法律を、六月までに通すことを求める。
何とかこれを阻止しなければ、と達洋は思った。
しかし、インターネットで公開するかマスコミに持ち込んで報道されても、ナンステックが圧力をかけてきて誤報としてもみ消されるだろう。
達洋は付き合っている優宇・親友の拓新ら友人に相談する。
だが、優宇はナンステックによる日本の買収に賛成し、写真として保存されている社内文書を消そうとする。
達洋と優宇は激しく対立し、カップルとしてうまくいかなくなる。
達洋と拓新は優宇を説得しようと試み、政府の売却を阻止するためあらゆる方法を検討していく。
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