第1章:未知との遭遇

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一方、上野のとある喫茶店。 「和くん。そろそろ時間だから、お店閉めちゃってちょうだい?」 「はい。わかりました~。」 女主人から、和くんと呼ばれたアルバイトの青年は、テーブルの掃除に勤しんでいた。 (あ~。今日も働いた働いた。さっさとお店閉めて帰ろう。) やがて閉店の時間となり、店じまいをするために店のドアを開けたその時だった。 桜色をした袴姿の少女が、店の前に座り込んでいたのだ。下を向いて俯いている。 青年は、一瞬あわてふためいた後、少女の肩を優しく叩いてみる。 「あの、すみません。お客様でいらっしゃいますか?」 少女は寝ていたようで、はっと目を覚ました。 「...はっ、失礼いたしました!」 「丁度今、閉店のお時間なので、これから閉めてしまうんですが...」 「すみません。1つお願いがあります。」 「はい?なんでしょう?」 「...私には、お金がありません。住む場所もありません。着るものももちろんこの袴だけです。」 「えっ...」 すると少女はアスファルトに両ひざをつけ、両手を張り付け、頭を下げる。 「迷惑を承知でお願いします!なにか食べるものを下さい!そのかわりなんでも言うことを聞きます!」 ぐぅ~~っと、少女のお腹が悲鳴をあげたのだった。 これが、少女と青年の出会いである。
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