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僕は、君の天使のような笑顔が、大好きだったんだ。
近所の土手で、進路について悩んでいたとき初めて出会って、何日もかけて僕の悩みを聞いてくれた君。
あれはまだ、春先のことだったね。
夏になって、僕は夏期講習や課題に追われて、でも君は僕に笑いかけてくれたね。
あの暑い日に、君の部屋で飲んだ冷たい麦茶は、暑さで疲れていた僕の体をほどよく冷ましてくれて、とてもよかった。
秋の頃には進路もある程度固まって、順調に進み始めたから、僕は君に告白した。
君は始め戸惑っていたけど、最後には受け入れてくれて、僕は君を手に入れた。
冬には、僕は君の笑顔がいつでも見られるように君の一番の笑顔の写真を撮った。
改心の出来だった。
だから、それ以外の写真は全てこの世から消してあげた。
そして、それを君の最後の写真としてあちこちに送ったんだ。
そして、冷えてる君を暖めるように、大事に大事に抱き締めながら、二人だけでクリスマスを過ごした。
年が明けて、僕と君は引き離されてしまったね。
大勢の見知らぬ男達が部屋に踏み込んできて、無理矢理僕はどこか知らないところに入れられてしまった。
しばらくして、新聞に君の一番美しい写真が載ったことを知ったよ。
あの時撮った写真だ。
僕が世界で一番美しいと思った君の笑顔が国中の人の目に入ったんだ。
みんな君に恋してないだろうか、それだけが心配だ。
見知らぬ男から、君の体が燃やされてしまったと聞いた。
涙が止まらなかった。
だから、僕もすぐに君のところへ行くからね。
「女子大生、天野美羽さんを殺害したとして逮捕された田村好人容疑者が自殺しました。なお、田村容疑者は天野さんを殺害後、防腐処置を施すなどし、三ヶ月ほど共に暮らすという猟奇的な一面を見せており、弁護団が精神鑑定を要求している最中の自殺との事です。」
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